東京世田谷区。楽ちん堂に行ってきました
東京は世田谷区にあります「楽ちん堂カフェ」に行ってきました。
いわゆるノマドワーカーがMacBook広げてオシャレに作業する感じのカフェではないです。
カフェの一角では手作業で製本を行う人あり。
製本する本のタイトルは「慧子の一生」。80年の人生を3日で書いたそうです。
別の一角では坂上田村麻呂について語り合う人あり。
坂上田村麻呂は渡来人で、夷狄を討つのに戦はせずに砦で田畑を作っていたそうです。知らんかった。
そんなところに行ったのは、お世話になった方にお線香をあげさせてもらうためでした。
出典:https://natalie.mu/stage/news/305857
森田雄三さん。
お芝居の演出家だった雄三さんは「たった4日の稽古で素人に本気の芝居をさせる」ワークショップをやっていました。
ぼくはそのワークショップの参加者でした。10年くらい前の話です。
雄三さんのワークショップではお芝居をするわけですが、目的はお芝居をすることではありません。
お芝居を通して「その人にしかない良さを引き出すこと」だったと思います。
一般社会では切って捨てられるところを拾って見出していくという作業だったと解釈しています。
正直、雄三さんは怖かったです。怪物でした。あんな人見たことない。
空気ごと投げつけられるような怒鳴り声もさることながら、なんでも見透かされている感じのするところが。
見ているところが違うから何を話したらいいのかわからず、近寄りがたい存在でした。
でも、人を見る目の温かさが伝わってくる人でした。
「君みたいなのは帰れ!! 芝居には出しません!!」とワークショップ参加者を突き放したことがありました。
言われた人は相当ショックだったでしょうが帰りませんでした。帰らずに稽古場の隅でずっと稽古を見ていた。
雄三さんは知らぬふりをして稽古を続けました。
1時間くらい経ったでしょうか。
雄三さんが「おい。君もう一回やってみろよ」とけろっとした顔で声をかけた。
さらに「偉いでしょ。帰れっつたのに帰らなかったんだから」と言ってニヤリと笑った。
こういうことができる人にぼくは会ったことがありませんでした。
雄三さんの稽古に参加してから、仕事や人間関係で考え方が変わりました。
自分を無理に対象に寄せていくことをやめました。
自分が悪いと考えれば解決する道が探せます。それはその通り。人のせいにするよりはいい。
でも自分が悪くないこともあります。悪くないことまで自分のせいにしなくてもいいでしょう。
「あの時人生変わったな」と思うポイントがいくつかあります。
雄三さんに会ったことはそのうちの一つでした。
「楽ちん堂カフェ」訪ねられてよかったです。
雄三さんの稽古場の雰囲気がカフェになっていました(ちなみに元はイッセーさんの稽古場だったそうです)。
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